「信仰の感化」

 お元気ですか? 明智信作です。今朝は、昨年の暮れに62歳で息を引き取ら れたクリスチャンのMさんのことをお話ししたいと思います。

 今の時代に62歳は、あまりにも早すぎると思えるのですが、しかし、人生の 価値は必ずしも生きた年月の長さで決まるものではありません。彼女がなさった こと、彼女が語ったこと、彼女の存在そのものがご家族に与えた感化は真に偉大 なものがありました。

 彼女には3人の息子さんと一人の娘さんがおられます。次男の方がおっしゃっ ていました。「母にいちばん感謝していることは、僕たちに神様のことを教えて くれた事だ」と。これこそ、人間として生まれた者が、人に与えることのできる 最もすばらしい感化ではないでしょうか。娘さんは、お母さんの感化のもとに、 Mさんが息を引き取る5日前に、バプテスマをお受けになりました。その知らせ を聞いたMさんは、弱々しい声ではありましたが、「うれしいです」と、本当に 心から喜んでおられる様子が、私にも伝わってきました。

 今振り返るとき、Mさんがこの日をどんなに楽しみに、祈りながら待ち続けた ことか、と思うのです。あと2、3日です、と言われながら、その後も3週間近 く生きられたのも、この希望があったからだと思います。

 Mさんは末期のガンという重い病気をかかえ、だれよりも一番ご自分がしんど いはずなのに、いつでも他の人のことを考えておられた方でした。「朝ごはん食 べたか?」「はよう食べて来(き)」と言っておられたそうです。夜まで付き添 っていた娘さんには、疲れるのを心配して、「はよう帰り、はよう帰り」と言っ てくださったそうです。Mさんの愛用の聖書を開いてみますと、その中のあるペ ージに目が止まりました。そこには、余白のところに、彼女が自筆で「神と一緒 に他の人の支えとなり、他を愛する」と書かれていました。Mさんの生涯を要約 しているような言葉でした。Mさんは、このように生き、家族に対し、また教会 に対して、大きな感化を与えた方でした。私にも忘れることのできない方です。
(by 明智信作)