「能力によらず、業績にもよらず」
お元気ですか? 明智信作です。
ヘンリ・ナーウェンという人は、二十年間にわたって、アメリカのノートルダ
ム大学やイエール大学、またハーバード大学で、神学部教授として大いに用いら
れていた方ですが、五十代を過ぎてから、心に一つの問題意識を持つようになり
ました。それは「年を重ねて、私はよりイエスに近づいただろうか?」という単
純な問いでした。そのことで神に導きを祈った結果、ヘンリ・ナーウェンは、カ
ナダのトロントにある知能障害者のための共同体であるラルシュに導かれたので
す。
彼がそこに移ってから経験した事が、彼の本の中に、このように記されています。
「知能障害者と共に、ひとつ家に暮らすようになって最初に受けた衝撃は、彼ら
が私を好いてくれるか嫌いになるかについて、私がそれまでに成し遂げた多くの
貢献のどれも、いっさい関係がないということでした。私の書いたさまざまな本
を誰一人読めませんから、それに感動したというような人はいません。また、ほ
とんどの者は学校に行ったことがないので、私がノートルダム、イェール、ハー
バードの各大学で教えた二十年の経歴も、自己紹介として大した意味をもちませ
ん。
・・・心破れ、傷つき、まったく自分を装うことをしないこれらの人々を前に、
能力をもつ自分という者、すなわち、何かができる自分・・・というものを手放
すしかありませんでした。そして、どのような業績にもかかわりない、ただ愛を
受け、与えるだけの、弱くて傷つきやすいありのままの自分に、自らを改めざる
をえませんでした。」
彼は、このラルシュに来て、初めて自分を飾りたてていたものをすべて捨てて、
ありのままの自分しか通じない経験をするのです。そこで、神の真実の愛を体験
を通して学んでいったのでした。神は、わたしたちの行いや成し遂げることのゆ
えに私たちを愛されるのではなく、わたしたちの存在そのものを愛されるという
ことを、彼は体得したのです。
あなたも、能力や業績によらず、あなたの存在が神に認められ、愛されている
のです。
(by 明智信作)