「主よ、わたしをあわれんでください」

 お元気ですか? 明智信作です。

 あなたには、愛する家族、大切な友人、あるいは心にかけておられる人がおら れることと思います。もし、その人が、重い病気にかかったり、深刻な問題をか かえている場合、あなたはどうされますか?

 きっと、その人を助けるためにどうしたらよいか、真剣に考え、自分にできる ことなら、全力を尽くそうとされるのではないでしょうか。しかし、状況によっ ては、助けたくても、自分の力ではどうすることもできない、ということもしば しばあるのではないでしょうか。そんな時は、どうされますか。

 新約聖書マタイによる福音書の中に、同じような状況に置かれた一人の女性の ことが出てきます。彼女は、カナンの女性で、ユダヤ人ではありませんでした。 しかし、キリストの噂を聞いて、イエスが、自分の地方へ来られたとき、彼女は、 すぐにイエスを捜して、近づきました。

 実は、彼女には、娘がいましたが、聖書によれば、その娘が悪霊にとりつかれ て苦しんでいたのです。聖書を見ますと、

「そこへ、その地方出のカナンの女が出てきて、「主よ、ダビデの子よ、わたし を憐れんで下さい。娘が悪霊にとりつかれて苦しんでいます」

と言って叫び続けた。」とあります。

 わたしは、この女性の叫びに心をうたれます。彼女は、「主よ、ダビデの子よ、 わたしを憐れんで下さい。娘が悪霊にとりつかれて苦しんでいます」と叫び続け ました。この女性は、苦しんでいる娘のことで、イエスに助けを求めているので すが、「娘をあわれんでください」とは言わず、「わたしをあわれんでください」 と叫んでいます。

 娘の苦しみを自分の苦しみとして、自分の問題として受けとめています。ひと 事ではない、自分の問題なのだ、と感じています。ここに、彼女の愛を見ること ができます。

 彼女の叫びに表れた「わたしをあわれんでください」ということばこそ、力あ る、真実なとりなしの祈りと言えるのではないでしょうか。このような愛から出 た祈りは、必ず、天に通じるのです。次回、この続きをお話しします。
                             (by 明智信作)