「伊勢湾台風の爪痕」

 今から三〇数年前の伊勢湾台風のことをご存知の方はどれ程いらつしやるでし ょうか。偉大な自然の力の前に止つ、人間の弱さをしみじみ感じさせたあの台風 のことを私は決して忘れることができません。

 あのとき、当時の西ドイツのディ・ヴエルトという新聞の社説に次のような感 錨深い文章が載っていました。

 「けだし彼ら日本人にとって、台風と挑発された海の前に、何ものもその生命 と財産の安全を保護することができないとき、数年ならずして最初の人間が月に 向かって飛ぶことを知っても何の役に立つだろうか.この大旋風の殺人的な足跡 は、・・・・われわれがあんなに得意になって思い込んでいた〃地球の主人〃に はまだまだなっていなかったことについて、われわれの思考をうながし、これに 役立つ。」

 「数年ならずして・・・・・・」と社説にあった最初の人間の月世界到着は、 その十年後の一九六九年七月、アポロ11号によって実現しましたが・・・・で も人間は少しも強くなっていませんでした。

 地震国日本は、同時に台風に見舞われる囲です.地震は不測ですが、台風のほ うは毎年決まって本土を襲って多くの被害をもたらしており、まだまだ我々は〃 地球の主人〃になっていないことを実感させます。

「はじめに神は天と地とを創造された」(創世記一の一)、
「地と、それに満ちるもの、世界と、そのなかに住む者とは主のものである」、
(詩篇二四の一)と聖書は言っています。

 菊の花が咲き誇るこの秋に、人類の打ち立てた科学文化を謳歌する前に、私ど もは神によって造られたものだから所詮〃地球の主人〃にはなり得ないという厳 然たる事実を謙虚な気持ちで認めるべきではないでしょうか。
                             (by 鴨田増一)