「永遠の書」

 一八四〇年代のヨーロッパは、新約聖書に対する批判が最高潮に達した時でし た。当時の学者たちは、新約聖書のほとんどすべてはキリストの弟子たちや使徒 たちによって直接書かれたものではないと主張していました。

 当時のこの風潮考濃憾に思っていたコンスタンチン・ティツシェンドルフは、 新約聖書に対するこの不信感を打破する唯一の方法は、新約聖書の古い写本をで きるだけ多く捜し出して、その時代的な裏付けを科学的にすることだと考えまし た。

 そこで彼は中近東地方を何回となく旅行し、古い写本を見つけるとそれを写し て出版しました。彼がシナイ山麓の聖カタリナ修道院で、新約聖書全巻の最古の 写本を発見した話は有名です。

 またパリの図書館に通って写し取ったエフライム写本などは、写したい肝心の 部分がほとんど消してあって、その上に古い説教文が書き込まれていたので判読 することは大変な仕事でした。

 毎日古文書と取り組むこの仕事は、やがて彼を盲目にしてしまいました。しか し彼は息子に手紙を送り「私がこの目を新約聖書が受け入れられるためにささげ たことを感謝する。私に六つの目があったとしても、それらを全部この仕事のた めにささげたことであろう。」と書きました。

 このような努力と犠牲によって、聖書は考古学的にも、いにしえの預言者の時 代、使徒の時代に書かれたものであることが証明されていったのです。読書の秋 です。聖書をゆっくりひもとき味わってみようではありませんか。
                             (by 鴨田増一)