「北風が南風に」

 一八五七年の十一月の終わり項、イギリスのある孤児院では暖房装置のボイラ ーが壊れて、温かい風を部屋に送り込めなくなってしまいました。イギリスのこ の地方の冬はとても寒いので暖房がなくてはやってゆけません。三百人もいる孤 児院の子供達はどうなることでしょう。外には冷たい北風がピユーピユー音をた てて吹いています。

 その時、信仰深い院長のジョージ・ミュラー先生はいつものように神様にお祈 りしました。「神様、ボイラーをなおしている間、寒い北風の代わりに暖かい南 風を吹かせて下さい。また工事が一日も早く終わるように、働く人をその気にさ せて下さい」

 そして、いよいよ工事が始まった時、前の晩まで吹いていた冷たい北風がピタ リとやんで暖かい南風が吹き始めました。まったくボイラーをたく必要がありま せんでした。その上、この工事を請け負った人達がやる気を起こして徹夜で働い てくれたので、工事はわずか二日で終わりました。その間暖かい南風がずっと吹 いていました。

 神様は院長先生のお祈りを聞いて下さって、寒い冬から子供達をお守りになり ました。新約聖書ピリピ人への手紙四章一九節に、

「わたしの神は、ご自身の栄光の富の中から、あなたがたのいっさいの必要を、 キリスト・イエスにあって満たして下さるであろう」

とあります。神は祈りという信仰の行為に応えて、このような奇跡を与えて下さ ったのです。

 このジョージ・ミュラー院長は〃祈りの院長〃として有名な人で、生涯を孤児 のために捧げました。
(by 鴨田増一)