「老いるということ」

 あなたの若い日に、あなたの造り主を覚えよ。悪しき日がきたり、年が寄って、 「わたしにはなんの楽しみもない」と言うようにならない前に……。伝道の書十ニノ一

 人間が人間として生きていると実感できるのは、自分がだれかに愛されている という確信を持てる時、また自分の存在価値が認められている時です。その意味 で、死ぬまで天職を全うすることのできる人は幸福な人と言えます。

 しかし体は老いてきます。定年退職というものがあります。その後の人生にお いて、自分の存在価値を認めてもらうには、今日という一日をどう生きるかが大 切です。

 人生の日が傾き、体力も衰え、かつて自分のために開かれていた門が閉ざされ、 慰めてくれる者も去り、一日の汗も重荷も他の人に任せるようになる時、いよい よ慈愛に満ちた温厚な老人になるよう努め、体力はあっても経験の足りない子供 や他人に責任を委ね、何にもまして、他の人々のために祈り、主が自分のために 備えていてくださる新しい奉仕に努め励むことによって主に仕える。

 このようにして、私たちは私たちを最も必要とする人々にとってよき香りとな ることができるのです。「人はある年月を生きたから老人になるのではない。自 らの理想を放棄した時に老人となるのだ。年月は顔にしわを刻むだろうが魂にし わを刻むのは理想の放棄である」。
(by 広瀬美子)