ろばとお坊さん

 ろばがお坊さんを乗せて町の中を歩いていきました。すると、行く先々で人々 はひざまづいてお坊さんにおじぎをしました。

 「ははん、僕が偉いからみんな挨拶をしているのだな」ろばは勘違いをして、 すっかり得意になりました。乗っているお坊さんを振り落とさんばかりの勢いで 町の中を走り出しました。

 「えい、このとんまなろばめ。みんなはおまえにおじぎをしているのではない ぞ。おまえが乗せているお坊さんを敬っておじぎをしているのだ。それぐらいが わからないのか」と、ろばをひく男がろばをしかりつけました。

 これは、フランスの詩人ラ・フォンテーヌが書いた寓話のひとつです。フラン スの人は、今でも、フランスの誇る古典のひとつとして、子供も大人も喜んでこ の寓話を読んでいます。

 ところで私達はこのお坊さんとろばのお話の中に、なんと愚かなろばだろうと 一笑に付すことのできないものがあることに気がつきます。それは私達もしばし ばろばと同じようなことをしているからです。「ははん。僕が偉いから」この気 持ちが曲者です。

 コリント人への第一の手紙13章4節に「愛は高ぶらない、誇らない」という 言葉があります。私達が、無我の愛の精神に徹底する時に、この高慢という大敵 に勝利することができることを教えています。

 キリストのお持ちになっていたような愛の精神を心に宿すこと、そこに秘決が あります。
(by 鴨田増一)