人の心を動かすもの

 アメリカ合衆国の初代大統領であり、建国の父ともいわれているジョージ・ワ シントンと云えば、桜の木を切つたことを正直に告白したという、彼の少年時代 の逸話が思い出されます。

 その彼が部下と一緒に田舎を旅行していたときのことでした。一人の黒人の農 夫がワシントンだということに気がついて、丁寧に挨拶をすると、ワシントンも 帽子をとって、丁寧に答礼しました。

 この様子を見ていた部下が「あのような農夫に対して、そんなに丁寧に礼をす る必要があるでしょうか」と尋ねました。するとワシントンは「私は礼儀正しさ では誰にもひけをとらないつもりだ」と答えたのでした。

 アメリカの宗教家であり、教育家、著述家であったEG・ホワイトという人は、 「どんなに自分の考えが正しく、ことばが真実であっても、人の心を動かすこと は決してない。

 教訓や議論のくりかえしは役に立たないが、ことばや行動にあらわれた愛の心 は、人の心を感動させる。わたしたちはキリストがおもちになっていたような愛 や同情心をもっともたなければならない」と述べています。

 ワシントンの偉大さのひとつは、正直とか礼儀正しさを実行して見せたことに あります.そこがワシントンの最大の魅力なのです。

 たしかに言うことはやさしいけれども、実行することはむずかしいものです. 私達の日常生活のなかに、キリストがお持ちになっていたような愛や同情心が行 動となってあらわれるようにつとめようではありませんか。そうするときに、私 達は本当に人の心を動かす者となれるのです。
(by 鴨田増一)