遠近法
絵画の世界に遠近法という技法があります。ご存知の通り、それは、近くのも
のを大きく、遠くに在る物を小さく描く方法です。絵画に奥行きを生み、立体的
な描写に役立ちます。
遠近法が主流となる前、ルネッサンス以前、絵画の対象の多くは聖書の中の人
物や、聖徒たちでした。それらは神様を中心にして神様に近い者から大きく描か
れ、神様に遠い存在は小さく描かれてゆきました。
ところが、ルネッサンス以降、遠近法が用いられ、絵画の中心は神の視点から
人間の視点に移ってゆきました。画家の視点を中心に、画家の重んじるものが大
きく前面に打ち出され、そうでないものは遠く、小さく描かれてゆきました。
遠近法という素晴らしいこの技法は、ある意味では、人々が神様を中心に生活
していた時代から自分を中心にしていく時代の移り変わりを象徴しているかのよ
うに思われます。
私たちは日ごろ自分を中心にして物事を見ています。自分にとって興味あるも
のを前面に打ち出し、そうでないものを後ろに追いやります。自分の関心事を大
きく見、関心の無い物を小さく見ようとします。それは心の遠近法と言えるかも
しれません。
しかし、自分の関心を第一においた、心の遠近法をいつまでも続けていると、
いずれ、行き詰まることがあります。そんなとき、神様を中心にして物事を見て
みるのも良いかもしれません。不思議と道が開けてくることがあるのです。
「まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものは、すべて添
えて与えられるであろう。」新約聖書マタイによる福音書6章33節の言葉です。
(by 藤田 昌孝)