親孝行の自立
熊本日日新聞(2000.11.5)に、精神科医の斎藤 環氏が、「依存」
と「自立」といことについて次のように述べていました。
「精神分析家の神田橋條氏は『自立』についてこう言っている。自立のもっとも
つたない形は『家出』、もっとも望ましい形は『親孝行』である。西欧型の自立
のモデルは、良かれ悪しかれ『家出』タイプだ。「成人したら親子の契約は打ち
切り」、というドライな発想は、確かに個人の自立を促進するだろう。
しかし自立を強いられた個人が逸脱するとき、それはしばしば反社会的行動と
して表現される。それに対して『親孝行』モデル、つまり依存し依存される関係
性においてこそ『自立』がある、という発想には、西欧自立モデルを乗り越える
契機がありうるのではないか」。
このように書かれていました。確かに日本の場合、子どもが成人し、それぞれ家
庭を持ちながらも、親子は持ちつ持たれつの関係をことあるごとに保ち続けます。
しかし、そのような関係性の中にあって初めて人間の自立が成立する、という考
えには私も賛成です。
さらに斎藤環氏は続けます。「自分を正当に評価してくれる対象を見い出し、
その対象に自分自身を委ね切ること。それが時には個人の限界を超えた能力を引
き出すのである」。なるほどそうかもしれません。
マタイによる福音書3:17「また、天からこう告げる声が聞こえた。『これは、
わたしの愛する子、わたしはこれを喜ぶ。』」。
この言葉は私たちにも与えられている言葉です。
神様と私たちとの関係はまさに日本人が理想とする「親孝行」の自立の中にあ
るような気がします。自分自身を正当に評価してくれる神様と出会い、主の愛と
守りの中に安んじ、行動してゆくとき、そこで私たちは神様のうちに新しく自立
した自分自身を発見するにちがいありません。
(by 藤田 昌孝)