人を殺したことがありますか。
あなたは、人を殺したことがありますか。私はあります。
10数年ほど前のことになります。私の前に人が死体となって横たわっている
のです。手には血に染まった包丁を持っていると言うわけではないのですが、私
がその人を殺したという確かな感覚があるのです。何故、この人を殺したのか、
どうやって殺したのかは記憶がないのですが、殺人を犯したという意識がしっか
りとあるのです。
私は、とんでもないことをしてしまったと思いました。自分のこれまでの人生
を否定して、自分自身を否定しても尚悔やみきれないと言う後悔の念で一杯にな
りました。本当にいやな思いです。この思いというのは殺人犯でないと経験でき
ない思いです。
私は絶望して、涙を流しながら、そこで真剣に神様に祈りました。それは「祈
る」というきれいな言葉で表現するよりむしろ「嘆願」するという方が適当かも
しれません。絶望の中で唯一の希望は神様に頼ると言うことでした。
「神様、私をこの現実から救い出して下さい。この現実をどうぞ夢に変えて下
さい。もう一度人生をやり直させて下さい。」
次の瞬間、私は涙を流しながら布団の中にいました。
何だ夢を見ただけじゃないかと言われるかもしれませんが、私にとってこの経
験は、あまりにもリアルで、あの時、神様は私に奇跡を起こして現実を夢に変え
てくれたと信じています。殺人を犯した後の思いというのは10年後の今でもはっ
きりと覚えています。
この話を当時、教会員の2人の方に別々にお話ししたことがあります。話を聞
いた後、2人とも同じ質問を私にされました。「どういう理由でその人を殺した
の」。同じ質問でしたが、その時の反応は全く異なっていました。一人は私を犯
罪者を見るような、恐れと戸惑いの表情でした。もう一人は笑いながら、面白い
夢を見たもんだというような表情でした。
どういう理由でどうやって殺したと言うことは私にとってどうでも良いことで、
夢から覚めた瞬間に忘れてしまいました。そこにはただ神のあわれみがありまし
た。目が覚めた後改めて感謝のお祈りをしました。
私が夢の中で真剣にお祈りした経験をお話ししました。
(by 和夫)