最も大切なもの

 以前、ある新聞社の広告で、その新聞社が誕生した年、1872年のお茶の間 と、現代の家庭の居間の写真が比較されていました。

現代の居間の風景にはたくさんの物が満ちています。電化製品から食料品まで、 すべての製品にはメイカーの名前が記入されていて、全部で100社近くの製品 で埋め尽くされていました。

 それに比べて、1872年のお茶の間の風景は、まだ家族は和服をきており、 そこにある品物はちゃぶ台と、タンスと、ごくわずかな物しかありませんでした。 メーカーの数も、かつおぶしとお酒の会社ぐらいで、ごくわずかでした。

 物にうずもれた現代、たしかに物質的には豊かになったかもしれません。しか し1年に100名近くも、自殺によって命が失われている現代、その写真を見て いても、あまり幸せそうには感じられませんでした。

 それに対して、一昔前のお茶の間の風景には、物がないにも関わらず、「人の 幸せには、それほど多くの物はいらないのかもしれない」と思わせる何かがあり ました。

 著名なアメリカの宗教家、エレン・ホワイトは次のような言葉を残しています。

「あまりにも多くの心配事や重荷が家庭の中に持ち込まれて、自然の単純さと平 和と幸福の尊ばれることがあまりにも少ない。

 多くの人は家庭を魅カのある、喜びの所とするにはどうすればよいか、その方 法を学ぶ必要がある。感謝の心とやさしい表情は富やぜいたくよりももっと価値 があり、質素なもので満足する心は、愛があれば家庭を幸福にする。

 人生の幸福の総計をつくりあげているものは、こまかい心づかいや生活におけ る数限りない小さなできごとやちょとした礼儀正しさである。」

 私たちの人生を真に幸福にするためには、それほどお金がかからないのかもし れません。
(by 藤田 昌孝)