子たる者よ。主にあって両親に従いなさい。これは正しいことである。(エペソ6:1)

  3びきの子リス

 北アメリカには、たくさんの種類のリスがいますが、ハイイロリスの話をしま しよう。

 寒い冬も終り、暖かい春が来たころ、お母さんリスは、かわいい赤ちゃんを、 3びき産みました。

 ハイイロリスは、巣を大きな木のうろの中につくり、その中で、子供を産みま す。子供は普通2、3びきで、6週間ほどたつと、巣から出歩くようになります。

 ある日、3びきの子リスたちは、お母さんに見はってもらいながら、はじめて、 巣からはいだしていきました。でもまだ下へはおりられずに、巣の屋租で、ゴロ ゴロとひなたぼっこをしただけでした。

 ところが、そんなわずかのすきにも、危険は身近にせまっていました。タカが 一羽、その木の上を、ゆっくり輪をえがきながら、とんでいたのです。

 お母さんリスは、子リスたちに「チイツク チイツク」と合図すると、次々と、 子リスたちをくわえて、安全な巣の中へ、つれもどしてしまいました。「チイッ クチイツク」は「あぶないから おうちへ おはいり」という意味だと、一度で 子リスたちは知りました。

 3びきのリスは、それぞれ特徴があります。しぐさも違っていて、はっきり区 別がつくのです。

 一番上の男の子は、顔がこげ茶色で 体がねずみ色、3びきの中で一番元気で した。

 二番目の男の子は、かんしやくもちでとってもおこりんぽうでした。

 三番目の女の子は、あまえんぼうで、お母さんから離れません。いつもあまえ て「ニェークニェーク」と身をならしていました。

 森には、リスの敵が沢山います。親のいいつけを聞かなかったら、タカやヘビ に、すぐに食べられてしまいます。ですから、お母さんリスは、子リス達にこご とを言ったり、時には、なぐりつけたりしながら、色々な事を救えました。

 一番上のこげ茶頭は、お母さんに言われた事を、すぐに覚えてしまいます。あ まえんばうの「ニェークニェーク」も、だんだん賢くなりました。

 しかし、二番目のクレイは、どうしたわけか お母さんの言う事を聞こうとし ないで、お母さんにしかられたり、お父さんに噛みつかれたりしましたが、それ でも ちっとも言うことを開かず、増々いたずらっこになっていきました。

 ある日、みんなで、かくれんぼうをしていた時、「チイック!」と言う危険信 号が 子リス達に聞こえてきました。何か大きな獣のやって来る様な音がしたか らです。

 こげ茶頭と、あまえんぽうニェークは、すぐに巣へかけ上って行きましたが、 クレイだけは、皆のあわてぶりを見て、笑っていました。巣へは戻らず、下の方 の大枝に身を伏せていました。

 お母さんリスは、「チイック」と何度も呼びましたが、クレイは、言うことを 聞きませんでした。

 そこに現れたのは、人間と犬でした。犬はクレイを見つけて、ワンワンと吠え ました。クレイは、おもしろがって見ていました。

 お母さんは、「あぶない、早く巣へ戻りなさい」と何度も叶びましたが、無駄 でした。クレイが小ばかにしたように「クワッ」と叫んだとたん、バーンと音が して、クレイはまっさかさまに落ちて、犬にくわえられてしまいました。

 お母さんリスは、目の前で、言うことを聞かなかった我が子の死を見て、どん なに悲しかったことでしょうね。   参考図書  シートン動物記
(提供:母と子のはこぶね学園)