時が良くても悪くても

 教会では、毎夏、子供達のために2泊3日くらいのお泊まりのプログラムが持 たれます。私達は、これをVBS(Vacation Bible Schoo l)、日本語では夏期聖書学校と呼んでいます。

 しかしながら、昨今、学校で学級崩壊が問題にされるほど、子供が一定時間静 かに座って話を聞くことが難しくなってきています。

 このVBSのプログラムも例外ではありません。ゲームや歌の間にイエス様の 話をするのですが10分も聞いていると、子供達は、落ち着かなくなり、横を向 いておしゃべりを始めたり、いたずらをするのです。

 K兄弟は、ここ20年ほど、毎年、このVBSにスタッフとして参加してご奉 仕されています。

 スタッフとしての実務的なご奉仕だけでなく、霊的なお話もプログラムの中で 担当されるのですがここ5年ほどは、ちゃんとしたお話が出来ないほど、子供達 の集中力が無くなりました。

 特に、小学校1年生の時から、このVBSに毎年参加している、腕白盛りの男 の子がいました。その子を権太くん(仮名)と呼びます。

 権太くんが、まず最初に大きな声を上げたり、物音を立てたりして、騒ぎの原 因を作り、それが全員に波及して、お話の学級崩壊に至る。これの繰り返しでし た。

 権太くんは、6年生になり、その年のVBSが最後の参加となりました。

 K兄弟は、今年もイエス様のお話を子供達にしました。権太くんは、今年も同 じようにお話の途中で騒ぎ始めお話を、最後まで静かに聞くことは出来ませんで した。

 お話が終わって、K兄弟が、お昼を食べていると、権太くんが神妙な顔をして 近づいてきました。そして、質問しました。「おっチャン、俺みたいなごんたで も、イエス様の所に行けるやろか」

 K兄弟は、権太くんのその言葉を聞いて涙がぼろぼろこぼれました。そして、 この小さな魂を思いっきり抱きしめました。

 毎年、お話を終える度に、糠にくぎを打っているような空しい思いをしていま したが、K兄弟が蒔いた種は、この小さな魂に根を下ろし、確実に成長していた のです。

 子供は、一見すると聞いていないかのように思えますが、その魂は、実は、ちゃ んと耳を傾けていたのです。

 私達も、自分の判断で種蒔く時期を決めるのではなく、主の御心に従って、そ の作業を進める主に仕える農夫でありたいものです。

御言を宣べ伝えなさい。時が良くても悪くても、それを励み、あくまでも寛容な 心でよく教えて、責め、戒め、勧めなさい。(第2テモテ4の2)

(by 和夫)