信仰の眼鏡

 少年は、青という色が大好きでした。小さい頃から自分の身につける物、身の 回りにあるものは、全て青色でないと気が済みませんでした。

 洋服から、食事する食器、箸に至るまで、全て青色で統一しました。そして自 分の子供部屋のベッドや家具も全て青色にしてもらい、はては、壁、天井、床も 青色のペンキで塗ってもらいました。

 少年は、この子供部屋にいると安らぎを覚えました。しかし、1歩、この部屋 を出るとたちまち落ち着かなくなるのです。

 少年は、子供の頃は、この青い部屋に避難することで、平安を得、過ごしてい ましたが、大人になると、どうにも我慢できなくなってきました。

 そこで、とうとう、子供部屋以外の居間やキッチンなどの全ての部屋の色を青 色に塗り替えてしまいました。そしてしばらくは、平安を得ていました。

 しかし、この家から出てみると、もうそこは青の世界ではなく、この平安も長 続きしませんでした。

 彼は、次に家の外壁、屋根、玄関のドアなどを全て青色に変えてしまいました。

 自分の周りは何とか、青色にすることができましたが、家から出ると町並みは、 青ではありません。彼は、法律を勉強して政治家になり、そしてその街の町長に なりました。

 町長として、新しい法律を作りました。町並みを全て青色で統一するというも のです。

 彼はご機嫌でした。彼の生活する環境は、全て青色になったのです。しかし、 天気の良い日は、空も青色で良いのですが、曇ったり、雨が降ると、たちまち空 は灰色になり、彼の機嫌は悪くなります。

 町長をしながら、新しい研究を始めました。そして、その研究の成果として青 色の煙を作ることに成功しました。早速彼は、曇りの日に青色の煙を作りあたり を青色で満たしました。至極満足でした。

 しかしその満足も長続きしませんでした。強い風が吹いてたちまち灰色の空に なってしまうんです。彼は、その後、長いことこの研究を続けましたが成果を得 ることは出来ませんでした。

 失望の時間を研究室で過ごしている時、彼の孫が遊びに来ました。暇つぶしに 孫に自分の研究していることを話しました。すると小学校にも未だ行っていない 孫は、言いました。「そんなの簡単だよ」

 彼は、一寸驚きましたが、何にも分からない子供が冗談を言っているのだと思っ て、「どうするのだね」と聞いてみました。孫は、答えました。「それは、青色 の眼鏡をかけることさ、こうするとみんな青色になっちゃうよ」

 私達は、日常の生活の中で、「周りが変わってくれない、相手が変わってくれ ない」と苦しんでいることはないでしょうか。本当に変わるべきなのは私達自身 かもしれません。

 バプテスマを受けてクリスチャンになると、何かが変わりますが、その何かは、 けっしてあなたの周りにある状況が変わるのではなく、あなた自身が神様から信 仰という青色の眼鏡をもらい、あなた自身が変わるのです。
(by 和夫)