わが子よ、あなたの父の戒めを守り、あなたの母の教を捨てるな。つねに、これ
をあなたの心に結び、あなたの首のまわりにつけよ。これは、あなたが歩くとき、
あなたを導き、あなたが寝るとき、あなたを守り、あなたが目ざめるとき、あな
たと語る。箴言6:20〜22
ムササビのおやこ
年をとった大きな木には、小鳥や動物が住めるように、いくつもの穴があいて
いて、そこから、色々な種類の鳥たちが出入りして、にぎやかです。
その木の穴を、うろ、と言います。夕方、あたりが薄暗くなって来ると、小鳥
たちは、うろ、に入って、ねむってしまいます。代りに昼間、ひっそりしていた、
うろ、の一つから、突然「ギュルルーツ」「ギュルルーツ」と、大きななき声が、
森中にひぴきわたりました。
うろ、から、まるい目が2つ、のぞいています。その瞬間、ふんわりした、白
いものが飛び出しました。ムササビです。
ムササビの夫婦には、6ケ月前に生まれた子どもがいました。子ムササビは、
おとうさん、おかあさんについて、空を飛びたくて、たまりません。
でも、ムササビの羽は、いったい 体のどこについているのでしょう。子ムサ
サビには、それが、不思議でなりません。
ちょうどハングライダーのように、高い所から低い所へ、空気に乗って 滑走
します。そのために 木の高い所へ上るのです。
ムササビの大好物は、さくらの花びらです。木の芽や若葉や、実も食べます。
子ムササビは、お母さんの帰りを待っています。お母さんが帰ると、口をつき出
して、お帰りなさいのあいさつをします。
子供のムササビは、おしりをなめられると おしっこをします。お侵さんは、
それをなめ取ります。ムササビの子がおしつこをするのは、お母さんがなめてく
れる時だけです。うんこも同じです。おかげで、巣の中は すこしもよごれませ
ん。
ある夜、子ムササビがお母さんのお乳を飲み終えると、お父さんが、けやきの
幹をのぽり始めました。お母さんは 子ムササビに向かって「ジーツ」「ジーツ」
となきます。
「ついて来なさい」と言うのです。両親は枝から枝ヘ ビョンピョン 飛ん
でのぽります。でも、初めて上る子ムササビは うまく出来ません。木の幹
にしがみつきながら、ゆっくり登ります。
けやきの枝につくと、子ムササビは、お母さんから 若葉を一枚もらいました。
若葉の香りがロいっぱいにひろがって、なんとも言えないおいしさです。
何日かたったある日、子ムササビは、恐ろしいもの音で目を覚ましました。雨
です。巣に水が入って、ムササビの家族は、となりの幹の、うろ、に引越すこと
になりました。
お父さんにつづいてお母さんがとぴ、向うから「ジイーツ」とないて呼んでい
ます。子ムササビは 目に雨つぶが入ってよく見えません。もう、むちゆうでお
母さんの呼ぶ方へおもいっきりジャンプしていました。
その時、子ムササビの手足が、自然に大きく開いたのです。するとどうでしょ
う、皮片の麒が、体から手足にひろがり、羽になっているではありませんか。
初めて空を飛ぶ事ができたのです。子ムササビは嬉しくて嬉しくて、又飛びた
くなりました。うろ、のふちを足でおもいっきりけります。すぐに手をひろげて、
続いて足をひろげると、羽が空気を受けて、体が宙に浮きました。
その日から子ムササビのたんけん飛行が治まりました。おいしい食べ物はどこ
にあるのか、あぶない所はどこなのか、仲間はどこに住んでいるか。こうして、
ムササビの子供は森の世界を知って行くのです。
参考図書 ムササビのおやこ(新日本図書由版社)
(提供:母と子のはこぶね学園)