わたしたちを試みに会わせないで、悪しき者からお救いください。マタイ6:13
アゲハがとんだ
さわやかな5月の朝、足下の草の露なんか気にしないで、近くの野山へ行って
みると、早起きの小鳥たちが、挨拶してくれます。ねぼすけの虫達は、今起きた
ばかり。アゲハ蝶が、林のすぐそばを飛び始めました。
おや?アゲハが何か見つけたようです。花も咲いていない木にとまりました。
羽をぱたぱたさせながら葉っぱに足をかけて、お腹を曲げていきます。そうです
卵を産んでいるのです。一つ産んでは次の木へ飛んでいき、又一つ産んでは、他
の木へ行きます。葉っぱの裏を見ると卵が黄色く輝いています。
アゲハ蝶は、カラスザンショの木やミカンの木やサンショウの木、それから、
カラタチの垣根にも卵を産みます。アゲハ蝶は、午前中に20個の卵を産み、午
後は花の蜜を吸ったりして、ゆっくりお休みします。こうして10日ほどかけて、
あちこちに卵を産み付けます。
1週間ほどして卵は幼虫になり、初めて食べるものは、今まで自分が入ってい
た卵の殻です。でも卵のそばには、蟻がじっと待っていて、卵から出てきたばか
りの幼虫を巣に運んでしまったり、蜘蛛に中身を吸われたりして、幼虫になれる
のは、産み付けられた卵の半分ぐらいになってしまいます。
ムシャムシャムシャムシャ…、幼虫は、柔らかい葉っぱをいくら食べても、蜘
蛛やかめ虫に見つかったらおしまいです。でも大きくなれば平気です。角から臭
いにおいを出して追い払えるからです。
幼虫が、緑色になりました。体も大きくなり、パリパリ大きな音を立てて、た
らふく葉っぱを食べます。お腹が膨れたら一休み。何回か同じことを繰り返して
います。そして、ノソノソと歩き始めました。どこか落ち着ける場所はないかな、
もうすぐさなぎになるのです。
背中に縦の割れ目が入ると、いよいよ脱皮です。外へ出たばっかりの蝶は、未
だ羽がちゃんと伸びていません。深呼吸をしながら羽を、ゆっくり閉じたり開い
たりしています。それにつれて羽は段々伸びていきます。
羽が乾いて固くなったら、さあ大空へ飛び出しましょう。ここまでになるには
沢山の危険に会いました。
200個の卵の内、大人になったのは、たった2匹だったそうです。この2匹
のアゲハ蝶は、喜んで喜んで空を飛んでいることでしょう。
参考図書 アゲハのとぶ日(新日本出版社) (提供:母と子のはこぶね学園)