いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい。
これが、キリスト・イエスにあって、神があなたがたに求めておられることであ
る。第1テサロニケ5:16〜18
クマに助けられた話
イヮンは、北極の郵便配達人でした。ある晩、その六頭の犬が、犬が食料にし
ていた腐った魚の毒に当って、死んでしまいました。イワンのいた場所は、どこ
の郵便局からも遠く離れていて、零下40度の寒さでした。
犬に死なれて、がっかりしたイワンは、かわいそうに、すっかり気がぬけて、
死にたくなりました。でも、家には、奥さんと赤ちやんが待っています。イワン
も大切な人達のことを考えていましたが、時には、心の迷いを止めることが出来
なくなるのでした。
以前には まるで人間同志のように仲良くしていた犬達と、おしやべりをする
楽しみがありました。でも、今は、聞こえるものと言えば氷の崩れる音だけで、
見えるものといえば雪、雪、雪の、まぶしいほどの白い広がりだけでした。その
雪の表面は、カリカリ音を立てていて、何メートルもの厚さで、まるで氷のよう
に堅そうでした。
その寂しさと言ったら、言葉で表わすことも出来ないほどです。イワンは、荷
を降ろして軽くなったそりを、来る日も、来る日も引っ張って行きました。そし
て夜になると、そりの上の毛皮の袋の中で、眠りました。
とうとう、かわいそうなイワンは、もうがまんできないと感じるようになりま
した。そして、天の神様に向かつて、苦しみを訴えて叫びました。「ああ、これ
以上、私を独りぽっちにしておかないで下さい。ああ、誰かをよこして下さい。
さもないと私は死にます。」
夜になると、イワンは、又毛皮の袋の中に横たわって眠りました。ところが、
何かが体の上におおいかぶさるように押してくるのです。目を開けて見ると、目
の前に、一頭の大きなクマが立っているではありませんか。クマは見いているよ
うな様子でした。人間なんか見たことがなかったのです。
不思議なことに、イワンはこわくありませんでした。起きあがると、そりから
凍った魚を取り出して、クマに食べさせました。クマはまるで大きな野生の犬の
ようなしぐさで魚を食べました。そして、満足すると イワンが自分の朝食を食
べている聞、そばに横たわっていました。
そして、イワンが再び出発すると、トコトコついて来たのです。「きっと 天
の御父様がよこして下さったのだ」とイワンは考えました。そして夜になると、
又餌をやって、並んで横になりました。毛むくじやらの動物の温かさは、イワン
に 新しい命を吹きこんでくれました。
ところが、郵便局から8キロ程のところに来ると、クマは突然向きをかえて、
遠くの森の方へ行ってしまいました。そして、二度とイワンの前に姿を現わさな
かったのです。
イワンが、郵便局にたどり着いて、この話しをしたとき、局長さんがこう言い
ました。「イワンは、北極で一番男敢な男ですからね。きっと神様は、イワンが
気を取り直すようにと、クマをおよこしになったんですよ。」
(提供:母と子のはこぶね学園)