『ダ・ヴィンチ・コード』

 今、巷でブームになっている『ダ・ヴィンチ・コード』をご存知でしょうか。 「あなたクリスチャン?これ、本当のこと?」このような質問を、受けることが あるかもしれません。クリスチャンとしては、ある程度正確な知識を持っておい たほうがよいでしょう。

 函館教会の工藤和則牧師より次のインターネットサイトをご紹介していただき ました。以前サインズにも記事を寄稿されたコミティッド・ジャパン牧師 石井 希尚先生の開いている一般の方向けのインターネットのサイト、『ダ・ヴィンチ ・コード・ミステリー』(http://www.marre.jp/davinci/index.html)です。

 このサイトから、その一部を抜粋してご紹介させていただきます。

「この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述はすべて事 実に基づいている」。小説の始めに出てくる、この文章が、ブームの引き金になっ たといわれています。

 しかしこれは小説にありがちな、読者をその世界に引き込むための1つのトリッ クです。事実だと思った人は、著者のトリックにまんまとハマってしまったとい うわけです。

 娯楽として楽しむのは結構かもしれませんが、それを事実と思い込み、イエス 様ついて、またはキリスト教会について誤解されるわけにはいきません。

 まず、事実と大きく異なるのは、小説の中で、中心的な位置を占めている「シ オン修道会」です。

 小説の中では、1099年にエルサレムで創設され、秘密文書を保管し、歴代 総長には、ダ・ヴィンチやニュートン、ユゴーなどの名を連ねている、と書かれ ていますが、フランス政府官報によれば、シオン修道会は1956年7月20日に 認可を受け、わずか3ヵ月後の1956年10月に解散しています。創設者はピ エール・プランタールです。

 プランタールは、自分がフランスの断絶した王家の末裔だと信じる誇大妄想癖 のある奇人でした。

 彼はそれを証明しようと、自らいろいろな偽造文書を作ります。1960年代、 プランタールは古く見える羊皮紙に「フランス王家メロヴィング朝の末裔が今も 生き残っている」といった内容を書いて、自ら創設した「シオン修道会」との関 係を結び付けようとしました。

 さらに、中世に実在した「シオンの聖母修道会」の末裔だと宣伝します。その つながりを主張する数冊の本を著述家と共同で出版してしまいます。

 さらに彼は、自分の主張の証拠を偽造します。『ダ・ヴィンチ・コード』にも 出てくる「秘密文書」と呼ばれる文書群を偽造し、フランス国立図書館に寄贈す るのです。

 これ以降、プランタールは自分の話の証拠がフランス国立図書館にあると吹聴 します。つまり自作自演です。この文章はただの紙にタイプされたもので、歴史 的価値はまったくありません。

 この頃(’72〜’79年)イギリスのテレビ作家(ヘンリー・リンカーン) らが、プランタールらから資料提供を受けて3本のドキュメンタリー番組を制作 しBBCテレビで放送します。

 さらにフランスなどに伝わる聖杯伝説と結びつけ1982年に『The Ho ly Blood and the Holy Grail』邦題『 レンヌ= ル=シャトーの謎…イエスの血脈と聖杯』を出版しました。

 実は、『ダ・ヴィンチ・コード』はこの本をネタにして書いたとして、盗作で 訴えられているのです。

 その後、プランタールはシオン修道会の総長リストに加えたフランスの投資家 (金融スキャンダルに巻き込まれて自殺)パトリス・ペラの件で、判事より家宅 調査を受けます。

 これによってプランタールの文書偽造の経緯がすべて明らかにされてしましま す。プランタールは司法の席で、すべてが自らによる偽造であることを認めます。

 結局この作品は、著者ブラウンがプランタールの作り話をもとに書いた小説な のです。フィクションですから、内容の真実性については、問われません。娯楽 作品だからそれでいいのです。しかし、くれぐれも真に受けませんように。
(by 藤田 昌孝)