「引き出された命」
お元気ですか、明智信作です。以前に命の大切さを語りましたが、自分自身の
命の大切さを知るだけでなく、他の人の命をも尊び、お互いに大切にし、いたわ
る生活ができたらすばらしいですね。ある本に紹介されていたのですが、一人の
男の子がいました。かりに隆と呼びます。隆君は悩性麻痺、知能障害、瞳形成不
全、聴力障害があり、まったく寝たきりの状態でした。自分では体を動かすこと
ができません。その隆君が、他の施設で働いている先生、仮に橋本先生と呼びま
す、この橋本先生との出会いの中で、やがてブランコに乗るまでに回復していく
のです。この隆君ははじめ、「丸めた毛布のように置かれていた」そうです。橋
本先生は、そんな隆君をどうしても放っておくことができずに、他の施設に働い
ていたにもかかわらず、仕事の合間に訪ねて来ては、毎日十分、十五分と隆君に
語りかけたそうです。今にも折れてしまいそうな細い腕をとり、隆君の手を自分
の頬に押し当てて、息がかかるくらいに顔を近づけて「隆君、隆君、橋本先生だ
よ」と話しかけ続けて3ヶ月目、橋本先生の呼びかけに隆君がニッコリとほほえ
んで答えたのです。それはまさに奇跡の微笑でした。それからはみるみる生命力
をのばし、耳はほとんど聞こえないと言われていたのに、テープレコーダーを抱
きかかえて音を聞くようになり、太鼓をたたき、三輪車に乗り、そしてブランコ
に乗るまでになりました。「なぜ隆君にこのようにかかわられたのですか」とい
う質問に対し、先生は「同じ人間だから」と答えられたそうです。橋本先生は、
神が隆君に与えておられた、すでにある命を、暖かい関心と接触を通して、引き
出す事に成功しました。
人の命を、神が与えて下さった宝として慈しみ、大切にし、暖かい関心を示し
続ける時、神はすばらしい奇跡を行ってくださるのですね。このような真実なふ
れ合いと交わりを求めていきたいものです。あなたの人生が、命と命がふれ合う
豊かな出会いと感動に満ちたものでありますように、お祈りします。
(by 明智信作)