[読者からの御質問]
はじめまして。まほと申します。
私の娘は精神的な難病にかかってしまいました。
確実な治療もなく、これからのこともどうなるか、わかりません。
20年間、一生懸命に、育ててきて、さあ、これからと言うときに
この病気になってしまいました。私は生きることのむなしさを覚えました。
娘と共に死にたくなってしまいました。
明るく、はきはきと利発だった娘を返してほしいのです。
こういうことも、神のお計らいによるものでしょうか。
牧師様のお話や聖書のみことばをお聞きしたいと思います。
[牧師からの御返事]
まほさんへ
娘さんのことでどんなに苦しい思いをしておられることか、とお察しいたします。
娘さんが具体的にどんな精神的な難病なのか具体的には解りませんが、私にもあ
る程度理解できます。なぜなら、私の娘(もうすぐ21歳)も中学時代の寮生活
や、アメリカ留学中の過度のストレスから心の病気になったことがあるからです。
まだ完治したとはいえませんが、ずいぶん良くなりました。この経験を通して、
私は、神の愛が無条件であることを身をもって悟らせていただきました。今まで
は、娘がきれいだとか、頭がいいとか、ピアノが上手と言われては、それを内心
誇る気持ちでいたのですが、病気になって、すべてを失って、死にそうになった
とき、何にもなくてもいい、娘が生きてくれているだけで嬉しい、ありがたい、
と思う自分を発見したのです。その存在そのものを喜ぶことが出来る愛があるこ
とを、身をもって知ったのです。これが、聖書に記された神の愛だと解りました。
その意味で、娘の病気は、私にとって尊い経験でした。神を知る経験にさらに成
長する機会となったのです。
「神は、神を愛する者たち、すなはちご計画に従って召された者達と共に働いて、
万事を益となるようにして下さる事を、わたしたちは知っている。神はあらか
じめ知っておられる者達を、さらに御子のかたちに似たものとしようとして、
あらかじめ定めて下さった。」 (ローマ8:28,29上)
とありますが、確かに、私たちの人生のあらゆる経験の背後には、神の計らいが
あって、私たちが、その経験を通して、神を知り、愛と謙遜と柔和と思いやりな
どに満ちあふれたキリストの品性に似たものとなるように、導いておられる、と
いう事を、自分の体験を通してさらに深く確信するようになりました。もし、私
にこの体験がなかったら、まほさんに対してどうお答えして良いか、とまどった
でしょう。今は、その意味が分かりにくいかもしれません。でも、娘さんの価値
は、はきはきと利発だったときと全く変わりません。まほさんも、ご自分の娘さ
んをそのようにいとおしく思っておられるのではないでしょうか。だからこそ、
娘さんの将来などを案じて、苦しんでおられるのだと思います。でも、今の苦し
みがそのまま全部宝として感じるときが必ず来ます。
「苦しみにあったことは、わたしによい事です。これによってわたしはあなたの
おきてを学ぶことができました」(詩篇119:71)
と言えるときが来ますよ。きっと、娘さんの病気もきっと良くなります。神は、
まほさんも娘さんをも造って下さり、生かして下さり、また愛して下さっている
全能の神です。このお方は、あわれみ深い神ですから、「主よ、わたしたちをあ
われんで下さい」と祈って下さい。主は、お二人のために特別に働いて下さると
信じます。私も祈らせていただきます。そして、どうか娘さんを今まで以上に愛
してあげて下さい。神は、娘さんを、まほさんに託しておられるのです。この人
なら大丈夫、とお考えになって。
最後に「あしあと」という題のマーガレット・F・パワースの詩を紹介します。
すでにご存じかもしれませんが。
ある夜、わたしは夢を見た。
わたしは、主とともに、渚を歩いていた。
暗い夜空に、これまでの私の人生が映し出された。
どの光景にも、砂の上に二人のあしあとが残されていた。
一つは私のあしあと、もう一つは主のあしあとであった。
これまでの人生の最後の光景が映し出されたとき、
わたしは、砂の上にあしあとに目を留めた。
そこには一つのあしあとしかなかった。
私の人生で一番つらく、悲しい時だった。
このことがいつも私の心を乱していたので、
わたしはその悩みについて主にお尋ねした。
「主よ。わたしがあなたに従うと決心したとき、
あなたは、すべての道において、私とともに歩み、
私と語り合って下さると約束されました。
それなのに、私の人生の一番つらい時、
一人のあしあとしかなかったのです。
一番あなたを必要とした時に、
あなたが、なぜ、私を捨てられたのか、
私には解りません。」
主は、ささやかれた。
「私の大切な子よ。
わたしは、あなたを愛している。あなたを決して捨てたりしない。
ましてや、苦しみや試みの時に。
あしあとが一つだったとき、わたしはあなたを背負って歩いていた。」
この詩が、まほさんにとって、何かお役に立てれば、と思います。
神の慰めと平安、希望が豊かに与えられますように、また、娘さんを主があわれ
んで下さって、天来の癒しを賜りますように、心からお祈りいたします。
明智信作